若者社会参加応援
夢ぷらす通信2025 年11 月号より
抜粋

「 学びカフェ 」

マラリアが猛威を振るう地域では、驚くべきことに「鎌状赤血球(文字通り鎌の形をした歪な赤血球)」の遺伝子を持つ人々が生き延びてきました。

両親からこの遺伝子を受け継ぐと、半分の子は健康に生まれて生き残ります(A)。しかし、1/4の子は重い障害を抱えながら生き延びます(B)。鎌状赤血球を受け継げなかった残りの1/4の子は健康に生まれるものの、マラリアにかかって命を落としてしまいます。

研究の結果、興味深いことがわかりました。Aグループが生まれると、必ずBグループも生まれるという関係があるのです。つまり、病気や障害は偶然ではなく、必要な存在として生まれてくる──そう言えます。

障害を引き受けた1/4の人たちは、一見不幸に見えるかもしれません。しかし、その存在があるからこそ、健康に生まれた人たちや社会全体が守られ、命はつながっていきます。一見「弱さ」や「欠陥」に見えるものも、実は命を支え、未来をつなぐ大切な役割を担っているのです。

鎌状赤血球の話を例にすると、弱さや障害そのものが、私たち人類にとっての“奇跡”だと言えます。山元加津子著『1/4の奇跡~「強者」を救う「弱者」の話~』には、まさにそんな奇跡が描かれています。

私がこの本を知ったきっかけは、別の書籍での引用でした。しかし購入して手元に置いたあと、偶然にも同じ著者の書籍が本棚にあることに気づいたのです。巡り合わせに、私は胸を打たれました。

その書籍、『リト』では、障害を持つ人々が社会でどのように生き、支え合い、自らの存在価値を見出しているのかが描かれています。『リト』は、ある占い師さんから「この人なら、という方に差し上げています」とふいに頂いたものでした。長い時間を経て、再び『1/4の奇跡』の思想に触れることになったのです。こうした偶然は、本当に嬉しいものです。

私たちは生きる中で、自分の存在価値や意味を強く意識する瞬間があります。「ああ、私生きている!」という実感や、「なぜ生きなければならないのか…」という絶望です。ふいに襲ってきて離れない「意味病」に、いつまで答え続けなければならないのでしょう。

私自身、20代の頃はよくそんなことを考えていました。生きるために、自分の行動や思考を意味でつじつま合わせしていたのです。例えば、ひどく辛い状態の自分を「自分を自分で育て直す計画の1局面」と奮い立たせてみたり、寝たきり状態の自身に対しても「死のワーク」だと意味付けたりして。ブログに自分の考えを書き連ねることも、「死なないように自分で自分を説得し続けた会話録」という側面がありました。

<「“意味がない”という意味」もまた意味だ>と言っても、単なる言葉遊びに聞こえるかもしれません。理解できても、実感にならないこともあります。しかし「意味病」が蔓延する環境では、この“処方”は他人から与えられるものではなく、自分で見つけるしかありません。

『1/4の奇跡』では、「“意味がないと思っていた”ことに意味」を見出すように、「“意味があると思っていた”ことに“意味がないという意味”」を発見することも大切です。それは無価値ではなく、豊かな余白なのです。

そして、重要なことがあります。意味を与えられるのは「未来の自分」だけです。「未来の自分」になるには、「今の自分を過去にする」必要があります。では、今の自分を過去にするとは何か──それは、今ここを生きることです。今ここを生きるとは、「意味病」に飽きたまま、あるいは絶望のまま動いてみることです。

もしよければ、一度その視点に立って、自分の反対側を覗いてみてください。

(担当:岩﨑)

 

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